「若冲屏風」は本人の作?(1/2ページ)
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江戸時代の奇想画家、伊藤若冲(じゃくちゅう)といえば、獣や花鳥をモザイクのように桝目描(ますめが)きした屏風(びょうぶ)を思い浮かべる人も多いはず。その広く知られた作品をめぐり、研究者の間で議論が起きている。東京大学の佐藤康宏教授(日本美術史)が「若冲作でないものがある」と指摘しているのだ。もちろん反論は多い。果たして誰が描いたのか? ■「工房作や後世の模倣」 佐藤氏の論文は、東京大学・美術史学研究室の紀要に掲載された「若冲・蕭白(しょうはく)とそうでないもの」。そこで「樹花鳥獣図屏風」(以下「樹花」)を「工房作」、「鳥獣花木図屏風」(以下「鳥獣」)を「模倣作」と指摘した。若冲作とされる桝目描きの作品は、ほかに「白象群獣図」(以下「白象」)がある。 佐藤説はこうだ。 まず「白象」について。(1)印章を押した紙が張ってある(2)若冲の描く形に通じるものがある(3)極めて手の込んだ方法で制作されている――ことから、通説通り若冲作とした。 同図では9ミリに区切った約1万個の方眼の内側を二重の正方形に塗り分けている。目的について佐藤氏は「織物に描いたように見せるため」とみる。 一方、「白象」と他の二つの屏風を比較し、「樹花」「鳥獣」の順に若冲作から遠くなる、と位置づける。 二つの屏風に署名や印章はない。桝目の塗り分けについて「樹花」を「ひどく粗雑」、「鳥獣」を「ていねいだが『白象』の彩色の論理を完全に放棄している」とみる。 また、動物の形態について、「樹花」を「ゆるみはあるが若冲の形に近い」とし、「鳥獣」のモザイクのような形については「形態の単純化と鈍化が目立つ」とする。 論文では「『樹花』は若冲の下絵を元に弟子が描き彩色した工房作。『鳥獣』は作者不明の模倣作」と結論づけた。
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